パリを発つその日まで、公証人や金融機関・担当者とのやり取りなどでバタバタし、余韻を楽しむ間もなく飛行機に乗り込み、帰国。あれほど心配し、電話で何度確認しても「自分はよくわからないし、規定もないんだけど、たぶん大丈夫」と言われるのみ、不安でドキドキしていたヴァイオリンの機内持ち込みもエール・フランスでは何のお咎めもなく、あっけなく荷物検査を通過しました。おかげで心労疲れか、爆睡。23時台発のフライトですから、まあ普通に眠れる時間帯なのですが、機内でこれだけ眠れたのも、何十回も飛行機に乗った中で、はじめてでした。
帰国翌日から、夏の一時帰国中に契約を済ませていたマンションへ入居。
幸い友人が予め照明器具などを取り付けておいてくれた上(日本のマンションにしては天井が高く、脚立どころか椅子一脚ない空間では、取り付けが不可能)、ガス開栓の立会いの予約もしておいてくれたおかげで、その日にお風呂に入ることもでき、なんとか日本の生活がスタートしました。
日本に生まれた生粋の日本人ですが、20年も在外生活をしていると、いろいろなことが新鮮でもあり、また不思議に思えてくることもあります。
いくつか思いつくまま挙げてみると、
1)区役所で各種手続きの際、「お客様」と呼ばれたこと:
トップランクのキャニスター真空
「マダム」とか「ムッシュー」とかいう、他人を呼びかける一般呼称の存在しない日本語では、こうなってしまうのでしょうか。でも「お客様」って、別にお客じゃないし、区民として住民届けや健康保険、年金の加入に来ただけなのに・・・国民年金を払うというだけで、もはや「お客様」になってしまうのかしら。
まあ「奥さん」とか言われると「わたし、奥さんじゃありません!」という人もいそうだし(たとえば、わたし?)、「ご主人」と言う言葉も女性差別だ、という人がいるからでしょう・・・ねえ。
2)あちこちが注意書きであふれていること:
家電にせよ、室内の設備(トイレ、お風呂、ガスコンロ等)にせよ、注意書きシールが� ��こにでもベッタリと貼ってあり、インテリアのセンスを台無しにしています。
「ガスを安全に使いましょう」・・・コンロ台に貼ってあるシール。これってどういう意味が?
「電球は高温になりますのでさわらないでください。やけどをする恐れがあります」・・・洗面台の照明に貼ってあるシール。裸電球を触ったらどうなるか、小学校の理科で既に教わっているべき内容では?
「タンクのふたは強く押したり引いたりしない。ふたが落下してけがをしたり、器具を破損することがあります」・・・トイレのタンクに貼ってあるシール。う〜む。
プールテーブルの上
「警告!やけどのおそれあり!蒸気口には手を触れない」買ったばかりのIH炊飯器に貼ってあるシール。そこから蒸気が出ていれば、普通判るけど。
「指づめにご注意ください」・・・観音開きのクローゼットに貼ってあるシール。一瞬意味がわからず、「ヤ」のつく世界のことかと早合点!
おそらくスタンダード仕様なのでしょうし、これを記載する義務があるとか、クレーマーが多いが故に必要不可欠、なのかもしれません。しかし、記載方法を目立たなくするとか、能動的に知りたいときに知るようにする、という方法はないのでしょうか。せっかくのデザイン重視な家電も、この注意書きシールベッタリ、で、なんだか残念。入ったことはないですが、塀の中、の方が注意書きが限られているのではないか、と思ったりします!
可逆トップとファックスプリンタスタンド
まあ一歩外に出れば、但し書きはもっとすごいのですが(「交通安全」とか、「不審な人を見かけたら〜」だけでなく、駅構内なんて、全部読んでいたらクラクラするくらいの言葉が・・・おそらく誰も真剣に読む人なんていないのでしょう)。
3)すべての言葉は和製英語であふれている
家財道具を買おうとして、たとえばデパートに行きます。家具売り場は何階かな、と案内板を見ても「家具」なる名称はありません。最近のデパートからは家具売り場は撤退したのかな、と思いきや、「インテリア」という言葉でした!
次に、フランスで言うTapis(じゅうたん、敷物)を探します。タピ、の日本語は「じゅうたん」、だな、と思って� �「じゅうたん」なる言葉が発見できません。いろいろなカタログを見て、ようやく「ラグ」と言うんだ、と理解します。
同様に、ゴミ箱、とか、ほうき、といった言葉も、ないのです!100円ショップですら「ダストボックス」「アウトドアブラシ」・・・もちろんモノを目の当たりにすれば判るので問題はないのですが、ネットやカタログで索引から検索しようとすると、出てこない!
これは在外20年のボケなんでしょうが、英語圏以外の外国で日本語を学んだ外国人が、日本語でもっとも難しいのはカタカナだ、というのは納得です。和製英語カタカナは独特の想像力で出来上がった言葉なのですから。
ようやくインターネットが開通(インターネットの仕組みですら、フランスのように数社止まりのプロバイダーではなく、星の数ほどあるプロバイダーが存在し、プロバイダーという上部構造は、フレッツ、というような回線を提供する下部構造の上に存在する二重構造だと理解するのに、これまた時間がかかりましたが・・・)、これが光回線というものか、フランスのADSLとは格段に違うなぁ、サクッと動いて速いなぁ、と感動している最中!!!
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